愛労委小西生コン事件行政訴訟 高裁判決

小西生コン事件 愛知県労働委員会命令一部取消訴訟控訴審 双方棄却判決

この日の高裁判決は連帯ユニオンと愛知県労働委員会の双方の控訴を棄却、一審判決を維持するものとなりました。

愛労委が認めなかった昇給差別と共に、弾圧を理由に関生支部との労働協約を破棄したことを不当労働行為と認定した一審判決が維持されたことは一定の意義がありますが、この日の高裁判決は、主文の誤字訂正に加え、一審判決の「本件(愛労委)命令は正当である」を全て「本件命令に違法はない」に書き換える等、8ページに渡って一審判決の補正を行いながら、高裁独自の判断がほとんどないという残念なものでした。

小西生コン社長は証人尋問で連帯ユニオン組合員を雇止めした理由に「連帯ユニオンが反社会団体だから」と明言していましたが、この点は、愛労委・名古屋地裁・高裁と、一切判断しませんでした。

また、連帯ユニオンが最初の組織化を実現した後、UAゼンセンに属する社内組合を結成し、その時に会社が社内組合の組合費を肩代わりしたことは社内組合の役員をから連帯ユニオンに継続的な情報提供があって解っていましたが、証人に立てる訳にもいかないので、団体交渉で社長にカマをかけて、給与明細の支給とチェックオフの両方の欄にある「管理」という項目が組合費であることを供述させました。命令・二つの判決ともこの点もお茶を濁して不当労働行為と認定しませんでした。

以上のような結果ですが、長期の闘いで以下のように小西生コンの多くの不当労働行為の認定を勝ち取っています。

2020年11月24日

愛知県労働委員会の発した命令は、2018年8月29日小西生コンが関西生コン支部の武建一委員長らの逮捕を報じた新聞記事を瀬戸工場に張り出したことを組合への支配介入=不当労働行為と認定、また、愛知県労働委員会は、「いうまでもなく労働組合は個々の労働者が参画して組織される団体であるところ、役員の逮捕によって直ちにその労働組合がその労働組合の資格を喪失するといえない」とその基本的な認識を示し、一連の昇給・賞与にかかる団体交渉を不誠実交渉として救済を命じた。

2021年5月21日

愛知県労働委員会は、小西生コンが、2020年4月29日に愛知連帯ユニオンが申し込んだ組合員の雇止めに関する団体交渉を、「コロナ緊急事態」を口実に拒否した事件について、これを不当労働行為と認定、団交の履行とポストノーティスを命令した。

2022年3月2日、中央労働委員会はこの命令を支持した。

2022年10月19日

名古屋地裁判決では愛労委が認めなかった昇給差別と共に、2018年9月22日に、弾圧を理由に関生支部との労働協約を破棄したことを不当労働行為と認定した。判決は、「本件通告文書(乙105)が送付された同年9月22日時点において、逮捕に係る被疑事実についての有罪が確定していたこと等は証拠上明らかでない上、複数の幹部が逮捕された事実によっても、そのことのみから、組合員によって組織される団休たる労働組合自体が反社会的勢力であると評価するに足りる事情があるということはできない。」とした。

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