JR東海子会社に不当労働行為救済命令 ー社内労組とユニオンの差別は複数労組への中立保持義務違反

8月1日、愛知県労働委員会は、東海合同労組がJR東海の子会社・東海交通機械に対して行った不当労働行為救済申立事件で、組合側の主張をほぼ全面的に認め、就業時間内団交の賃金支給差別、団交時間の30分への制限、裁判中のパワハラ暴行事件の交渉拒否、団交での虚偽発言、組合掲示板の提供拒否を不当労働行為と認定、会社に組合への誓約文の提出など、6点に渡る救済命令を発しました。

本件は、2016年12月29日、米原駅営業所で上司からのパワハラ暴行により鼓膜が破裂した労働者が一人で裁判闘争を闘うも、職場での圧力を受け、身を守るために地域合同労組に加入した事案です。

東海交通機械には連合の属する社内組合があり、会社と社内組合は勤務時間内に団交、1か月に40~60分の団交を行い、組合掲示板も提供していました。しかるに会社は合同労組に対しては勤務時間内団交を認めず、2か月に1度の団体交渉を30分に制限して議題を途中で打ち切り、組合掲示板の提供も拒否しました。愛労委の命令はこれらを使用者の複数労組への中立保持義務違反、及び不誠実交渉として不当労働行為と認定したのでした。

また、裁判中の上司のパワハラ暴行を団交議題にすることについても、「法律的権利義務関係を確定する裁判を選択した他に、将来の関係も視野に入れて団交による解決を探る意味は十分の存在する」としてこれを義務的団交事項とし、パワハラ暴行事件を団交議題とすることを拒否した会社の不当労働行為を認定したのでした。

画期的・全面的な勝利です。なお、8月3日には名古屋高裁でパワハラ暴行事件の控訴審判決があり、加害者の不法行為と会社の安全配慮義務違反を認定した1審の判断に加えて、パニック障害を労災と認定、また、会社が死傷病報告書の提出を遅らせた上に加害者に主張に沿った書類を提出したことを不法行為と認定し、損害賠償の金額を上乗せする判決が出されました。