19.時評:コロナ19感染拡大の現段階と社会主義

1. 感染拡大の原因 - グローバリズムと新自由主義

3月11日にWHOがパンデミック宣言をして以降、コロナ19の拡大は止まらず、現在も世界で毎日5000人前後の人が死亡し、累積での死者は60万人以上、特に、米国14.5万人・ブラジル8.5万人・イギリス4.5万人・メキシコ4.3万人で4か国の死者が合計で総数の約半数を占めている(死者数は、検査数に依存する感染者数より実際との誤差が少ない)。中東を除くアジアの人口当たりの死者数は欧米に比して100倍近く低い(6月21日札幌医大集計等)。とはいえ、それでもアジアでも社会は深刻な打撃を受けている。コロナ19は「風邪の一種」として急速に感染を拡大し、無症状の人も多いが時に呼吸器官などで急激なサイトカインストーム(過剰免疫反応)を引き起こして重症化するという非常に危険な病気である。

21世紀は、動物起源のウイルスによる新興感染症(新型インフル、SARSⅠ,Ⅱ、MERS)の時代となっている。地球温暖化と森林破壊による人間と自然の接触面の拡大、工場的農業による生物多様性の喪失、グローバリズム・新自由主義の下での人の過剰な移動と都市への人口の集中がパンデミックをもたらしていると指摘されている(ロブ・ウォレス、ダニエル・タヌロ‥等)。WHOでも、2018年、2019年、「パンデミックは来るかどうかではなく、それはいつ来るかだ」と指摘されていた。さらに、新自由主義による公衆衛生の後退と医療の民営化も社会の安全弁を破壊している。従って、コロナ19感染の現状は21世紀の「新常態」だとも言える。

ところで、コロナ19のウイルスの由来について、中国の軍事研究所などとする根拠のない憶測が流布されているが、これまでのゲノム解析(遺伝子の連続的な変異)からは、かつて大流行したSARSとMERSの延長上にあることは明らかとなっている(ファウチ・河田昌東など)。一般的には2019年11~12月に中国武漢で発生したという見方が有力であるが、現在問題になっているSARS-CoV-2は既に1984年頃にはコウモリで発生しており、これまで何らかの形で潜伏していた可能性があると指摘する論文も発表されている(Maciej F. Boni)。また、2019年12月、フランスの患者で既に新型コロナ・ウイルス(SARS-CoV-2)の陽性反応が出ていた事が分かった(CNN:2020年5月5日)。さらに、イタリア国立衛生研究所が実施した下水の調査から、北部都市ミラノとトリノで2019年12月半ばに新型コロナウイルスが存在していたことが示されている(2020年6月20日ロイター)。

現在、コロナ19に対して、人間へ初めて使用するmRNAワクチンの開発競争が先進国の巨大医療資本によって進められている。しかし、コロナウイルスは抗体を容易に形成しない、あるいは抗体が持続しないという指摘もあり、未だ実用化の目途は立っていない。他方で、既に多くの人がコロナ19に対して有効な交差免疫(類似の免疫機能)を所持しているとの指摘もある(米ラホイヤ免疫研究所)。

また、細胞レベルでの実験や臨床実験が行われて経験が積まれている既存の抗ウイルス薬をコロナ19に対して使用する試みは、利用できれば経済的にも有益だが、抗ウイルス作用のメカニズムが明らかでない場合が多く、混乱の基になっているのが現状である。

2. 明らかになった経済格差

ロックダウンや出入国の禁止で深刻な打撃を受けた各国経済は、米国約320兆円(GDP16%)、日本約108兆円(GDP20%、一般会計予算とほぼ同額)の財政出動や、EU約92兆円の基金の創設などで何とか危機を回避している。だが、それは金利が上がれば国家財政が破綻するという異常な状態となっている。新興国からは既に10兆円を超える資金が流失、このような中で米中の対立が深刻化している。2008年金融危機以降の「先進国の金融緩和とBRICS等新興国の急成長」という経済循環モデルは終末を迎えたことは明らかだ。

また、コロナ19の拡大は、貧富の格差を浮き彫りにした。IT企業が大きな利益を上げ、米国では大学院を出た人は50%以上が在宅勤務ができるが、大学に行っていない労働者で在宅勤務ができるのは13%に過ぎない(米労働省)。日本では年収400万円以下の世帯は70%が「減収となった」としているのに対して、年収600万以上の世帯は60%が「変わらないか、増えた」としている(朝日新聞デジタルアンケート)。コロナ19での死者の40%近くが介護施設で起きているのも世界で共通する状況の様だ。

3. 社会に重要なのは私たちの仕事。利潤のためでなく、使用のための生産を

コロナ19拡大の影響が大きかった「運輸・販売・製造・飲食関係・医療介護関係」等の現場労働者は、世界で「エッセンシャルワーカー」(必要不可欠な労働者)と呼ばれるようになった。人々は何が本当に重要なのかをパンデミックの中で理解し始めたのだ。利潤を得るための経済活動から、人々の生活のニーズを満たすための経済活動へと転換しなければならない。

資本主義の無際限の拡大再生産が地球の自然的限界と衝突し、地球温暖化や自然災害、パンデミックをも引き起こして人類の生存を脅かしている。これにストップをかけるには、民主的に計画化された経済に転換すること以外にない。労働現場、生活現場からの反撃を拡大し、社会主義勢力の大衆的形成を実現しよう。

2020年7月26日